2011年4月27日水曜日

米国でプルトニウム・ウランが検出される:過去20年間で最大値!プルトニウム239がハワイで43倍・カリフォルニアで11倍

米国環境保護局(EPA)のデータベースを詳細に調べてみたところ、3月下旬から4月初旬にかけて行われたグアム・ハワイや米国西海岸での計測において、異常な濃度のプルトニウム・ウラン・ストロンチウムが検出されていたことが分かった。これにより福島第一原発から最も毒性の強いプルトニウム・ウランとストロンチウムが大気中に飛散していることが裏付けられた(当然海中にも放出されていることになる)。この事実に日本の政府・マスコミ・東電・御用学者はだんまりを決め込んでいるが(米国政府もアクセスの多い一般向けのページにはごく一部の放射性物質の情報しか掲載していない)、すでに海外の専門家の間やネットでは隠しきれない事実になりつつある。

今回当ブログで集計したのはカリフォルニア・ハワイ・グアムでのフィルタ方式で検出された大気中の放射性物質濃度である(ざっとではあるがアラスカ・ワシントンなど他の州での検出も確認した)。

※ご自身で個別のデータベースを確認されたい方はこちらへどうぞ。州ごと・核種ごとの過去のデータがダウンロードできます。

■ 単位変換式と表内記号
1pCi=1,000,000aCi
1pCi=0.037Bq
1km3=1,000,000,000m3
1Bq/km3=1立方キロメートルあたりのベクレル数(大気中の放射性物質濃度を表す)
Pu=プルトニウム
U=ウラン
Sr=ストロンチウム
CA=カリフォルニア
HI=ハワイ
GU=グアム
放射性核種ごとの詳細データはこちら

■ 集計結果

2000年から2011年2月までに検出された大気中の放射性物質濃度平均(Bq/km3)
 Pu238Pu239U234U235U238Sr90
CA11464707375 
HI8136423928 
GU      

2011年3月11日から4月初旬に検出された大気中の放射性物質濃度平均(Bq/km3)
 Pu238Pu239U234U235U238Sr90
CA78969155590060448963
HI25901554166512951443 
GU28121850281222201850 

3・11後の平均検出濃度は2000年以降の過去の平均検出濃度の何倍か  
 Pu238Pu239U234U235U238Sr90
CA6.9110.777.8912.328.05NA
HI31.8043.4039.3033.2151.74 
GU      

まず3月11日以降、プルトニウム・ウラン・ストロンチウムの濃度が大幅に上昇していることが分かる。半減期2.4万年で強烈なアルファ線を出すプルトニウム239の場合、カリフォルニアで11倍、ハワイで43倍になっている。また半減期44.7億年で強烈なアルファ線を出すウラン238(劣化ウラン弾に含まれる物質)の場合、カリフォルニアで8倍、ハワイで52倍になっている。カリフォルニアでは半減期29年で強烈なベータ線を出すストロンチウム90が3月11日以降に初めて検出された。グアムは3・11以前はずっと未検出(あるいは未計測)であった。なお2000年から2011年2月までの過去のデータは、あくまでデータとして残されている検出された時のみの平均値なので、未検出という計測結果をすべて反映した本当の平均値で比較できれば、倍率はさらに大きなものになる。

これが福島原発から放出されたプルトニウム・ウラン・ストロンチウムである根拠は2つある。第一に、比較可能なデータの得られる1990年代前半以降、一度もこのような大規模な濃度上昇はなかったし、ここ20年間で最も高い濃度に突然なっている。第二に、3・11以降に検出された大気中濃度を比較したら、以下のように日本との距離が近いほど高濃度になっていた。例えばプルトニウム239の場合、日本から西に8700km離れているカリフォルニアでの濃度を1とすれば、日本からの距離が南西6200kmのハワイで1.97倍、南に2500kmのグアムでは2.34倍である。福島原発災害以外にこのことを説明できる現象は見あたらない。

3・11後のカリフォルニア州の平均検出濃度を1とした場合の倍率  
 Pu238Pu239U234U235U238Sr90
CA111111
HI3.281.972.111.641.83 NA
GU3.562.343.562.812.34 NA

結論:最も凶悪な放射性物質であるプルトニウム・ウランとストロンチウムも、福島原発から大気中に飛散している。


■ 日本でも飛んでいるプルトニウムとウラン

では日本の大気中のプルトニウム・ウランの濃度はどのくらいになるだろうか。残念ながら東電・日本政府・マスコミ・御用学者らが反原発世論を押さえ込むためにこれらの重大な情報を隠蔽している以上、既存のデータから自力で推測するしかない。情報の制約から、以下はかなり雑な計算になることをご理解いただきたい。

この記事に詳しく書いたが、気象庁が公開した放射性物質飛散予報データによると、2011年3月末あたりで、日本近海での最も低濃度の飛散予測エリアは福島原発上空の100兆分の1という濃度になっていた。おそらくグアムではそれよりも低い濃度で飛来していると思われるが、あえて「保守的」な計算方法(グアムの対福島希釈倍率を高めに設定すれば日本の濃度を逆算した場合に控えめな値が出るという意味)で、この100兆分の1という濃度をグアムに適用して考えてみると、3月26日放出分のデータで茨城は原発付近の約100億分の1、東京は1兆分の1の濃度なので、それぞれグアムの1万倍、100倍というおおざっぱな想定が導き出せる(グアムでの計測日は3月31日と4月1日、希釈倍率データはヨウ素131のもの)。

2011年3月末の気象庁データと米国EPAデータから推定される濃度(Bq/km3) 
 希釈倍率Pu238Pu239U234U235U238
グアム100兆分の128121850281222201850
東京1兆分の1281200185000281200222000185000
茨城100億分の12812000018500000281200002220000018500000

正確な値までは分からないが、アメリカでプルトニウムやウランやストロンチウムが飛んでいる以上、日本の空気中には少なくともそれよりも高い濃度で飛んでいることは確実であろう。政府は放出されたヨウ素131とセシウム137の量からレベル7であることを認めたが、放射性物質の種類や質からみてもチェルノブイリ事故に並んでしまった。プルトニウムやウランはヨウ素やセシウムよりもはるかに人体に与える影響は大きいが、それらが出すアルファ線は短い距離しか飛ばないため放射線量モニタリングでは計測できない。身の回りにたくさん降っていることに気づかず体内に入れてしまえば致命的なリスクを抱えることになる。1000人に1人の子どもをガンにさせる暫定基準を決定した文科省は、なんとこの体内被曝分を全く計算に入れないでそれだけの被曝を認めるという。10年・20年後の人体への影響についてはこちらへ

もう隠しきれないな。どうする、斑目!