2011年4月27日水曜日

放出されている放射性物質は2種類ではない:米国でセシウム134・ヨウ素132・テルル129・テルル132など検出される

なぜセシウム137とヨウ素131しか測定値が発表されないのかずっと疑問に思っていました。
放射性物質はこの2種類ではなく、他にたくさんあるのでは?

アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)が発表している大気中の放射性物質の数値(日本では測定すらされていない大気中の1立方メートルあたりの放射性物質量)から、アメリカ国内ではヨウ素131・セシウム137以外に、セシウム134,セシウム136,ヨウ素132,テルル129,テルル132が検出されていることが分かりました(その後詳細なデータベースを調べたところプルトニウム・ウラン・ストロンチウムも検出されていました)。



  • 4月24日の時点で229地点での大気中放射性物質の検出結果が発表されていますが、このうちテルル132は46地点から検出されています。テルル132の検出量が一番多かったのが、3月19日にアラスカのDutch Harborで検出された0.015Bq/m3でした。ちなみにテルル132の半減期は3.26日です。
  • 同じようにセシウム134は44地点から検出されていて、その中での最大数値はカリフォルニアのAnaheimで3月25日に検出された0.0096Bq/m3。セシウム134の半減期は2年。
  • セシウム136は5地点で検出されていて、最大数値は3月24日にアラスカのNomeで検出された0.00045Bq/m3。セシウム136の半減期は13日。
  • ヨウ素132は32地点で検出されていて、最大数値は3月19日にアラスカのDutch Harborで検出された0.001Bq/m3。ヨウ素132の半減期は2.3時間です。
  • テルル129に関しては、一度だけ3月24日にアラスカのNomeで0.0045Bq/m3が検出されたのみです。テルル129の半減期は1.16時間。

米国で検出されているこれら5つの放射性物質について、日本では測定できない・または検出されていない、なんてわけがないですね。

米国での検出量は微量ですが、問題は比率です。セシウム137との量的比率を調べたところ、以下のようになっています。
セシウム134:セシウム137検出量の103%
セシウム136:セシウム137検出量の2%
ヨウ素132:セシウム137検出量の84%
テルル129:セシウム137検出量の8%
テルル129M:セシウム137検出量の13%
テルル132:セシウム137検出量の140%

半減期の長さから特に注目なのはセシウム134(半減期2年)です。日本ではセシウム134の放出量が測定されていないかもしくは情報公開されていません。したがって米国での検出比率を適用するしかありません。米国ではセシウム134はセシウム137とほぼ同量検出されているので、日本でもセシウム137と同じくらいの量のセシウム134が飛んでいる可能性が高いです。したがって放射性セシウム全体の量は、公表されているセシウム137の量の少なくとも2倍は見ておかないといけない。例えば東京には3月19日以降の累積で約7000メガベクレル/km2のセシウム137が降下しています(4月25日現在)が、放射性セシウム全体では14000メガベクレル/km2以上は降ったと推定できます。

セシウム137とヨウ素131のみ公表している日本政府には相当問題があります。情報が隠されている以上、このレベルなら安全だとかいうすべての議論の説得力はゼロです。

米国EPAは上記の物質以外にもバリウム140,コバルト60,ヨウ素133も調査範囲に入れていますが、今のところ未検出です(米国は「未検出」とする値が2桁小さいので、日本で「未検出」とされるレベルでも米国では検出データが出ます)。東電・政府はお詫びパフォーマンスなんかじゃなくて、まずは正直にすべての放射性物質量データを公開すべきではないでしょうか。